土地を持っていても、どう活用すればよいか迷う人は多いものです。土地の立地や広さ、資金計画によって選べる活用方法はさまざまです。本記事では、売却などで資産を動かす方法から、貸す・建てる・運営するといった長期的な活用まで、目的に合わせた4つの土地活用の形を紹介します。
目次
売却・委託・交換などの「直接的な資産運用型」
自己資金をほとんど使わずに始められる「売却・信託・等価交換」などの直接的な資産運用型の土地活用について紹介します。短期間で現金化したい方やリスクを抑えたい方におすすめです。売却
土地の売却は、固定資産税や維持費の負担をなくせるため、遊休地を持て余している場合にも有効です。売却した資金を住宅購入や新しい投資に充てることもできます。ただし、売却で利益が出た場合は「譲渡所得税」と「住民税」が課税されます。税率は土地の所有期間によって変わり、5年を超えていれば長期譲渡、5年以下なら短期譲渡として扱われます。売却価格は不動産会社によって差が出ることも多いため、複数社から査定を取りましょう。
土地信託
土地信託は、信託会社や信託銀行に土地を預け、代わりに運用してもらう方法です。地主は自ら運営する必要がなく、運用によって得た利益の一部を配当として受け取ります。信託期間は10〜30年ほどが一般的で、契約終了後は土地と建物が所有者に戻ります。初期投資が不要で、資金に余裕がない場合でも土地を有効に活かせます。
ただし、信託会社が収益化できると判断した土地に限られるため、契約前には条件の確認が必要です。
等価交換
等価交換とは、地主が土地を提供し、事業者が建築費を負担する仕組みです。完成した建物や敷地を出資割合に応じて分け合うことで、土地を手放さずに資産を増やせます。初期費用をかけずに建物を所有できる点が最大のメリットです。老朽化した建物の建て替えや土地の一部を活用して収益を得たい場合にも適しています。
ただし、建物の配分割合や事業内容の決定には慎重な交渉が必要です。信頼できる事業者を選び、専門家のサポートを受けながら進めましょう。
貸すだけで収益を得る「リスク低めの貸付型」
土地を手放さずに「貸すだけ」で収益を得られる、リスクの低い土地活用法です。初期費用を抑えたい方や安定的な収入を目指したい方に向いています。土地を貸す
土地を貸し出し、借主から地代を受け取る方法です。借主が建物を建てて事業を行うケースが多く、地主は固定の地代を得られます。借地契約は「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。普通借地権は更新を前提とした長期契約で安定収入が見込めます。定期借地権は契約期間終了後に確実に土地が戻る契約で、将来的に土地を売却したい方に向いています。地代を設定する際は、固定資産税や都市計画税の負担も考慮してください。
駐車場経営
駐車場経営は、土地活用の中でも人気の高い方法です。「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類があります。月極駐車場は契約者に一定期間貸し出す方式で、舗装や区画線を引くだけで始められます。初期投資が少なく管理も簡単で、将来的にほかの活用方法に転用しやすいメリットもあります。コインパーキングは短時間貸しの無人駐車場で、精算機やゲートなどの機器を設置する必要がありますが、交通量の多い立地では高い収益が期待できます。
コインランドリー経営
都市部で増えているのがコインランドリー経営です。10坪ほどの土地があれば始められ、需要のある地域では安定した収益が見込めます。運営方法は個人経営かフランチャイズ加盟の2種類です。個人経営は自由度が高く全売上を得られますが、設備導入や運営管理を自分で行う必要があります。フランチャイズ加盟はノウハウ提供や設備導入サポートを受けられるため初心者でも始めやすいですが、加盟金やロイヤリティが発生します。
自動販売機設置
小さなスペースでも有効活用できるのが自動販売機の設置です。土地が狭くても始めやすく、運営方法は2種類あります。1つ目は、自動販売機会社に土地を貸す方法で、設置・補充・清掃を業者が行い、地主は売上の一部を受け取ります。
2つ目は、自分で購入して設置する方法で、売上の全額を得られますが、補充や管理を自分で行う必要があります。どちらも収益は副収入としての導入が多くなっています。
太陽光発電
土地にパネルを設置して発電した電気を売る方法です。方法は2つあります。1つは土地を発電事業者に貸して賃料を得る方法で、自己負担なく遊休地を活かせます。ただし契約期間中は土地を自由に売却したり転用したりできません。2つ目は自ら設備投資して発電・売電する方法で、初期費用は数千万円かかりますが、一定価格で電力を買い取ってもらえます。天候や設備劣化で発電量が変動するリスクもあり、定期的なメンテナンスと信頼できる施工業者の選定が重要です。
建物を建てて貸す「賃貸経営・不動産運用型」
土地に建物を建てて貸し出し、家賃収入を得る方法です。資産を増やしたい方や相続した土地を有効に使いたい方におすすめです。アパート経営
アパート経営は、土地にアパートを建てて入居者から家賃を得る方法です。金融機関のアパートローンを利用して建築し、長期的な収益計画を立てながらローン返済と家賃収入を管理します。相続対策としても人気があり、節税効果を期待できる点も魅力のひとつです。ただし、入居者の確保や老朽化に伴う修繕、税金などのランニングコストは考慮しておかなければなりません。立地選びと建物の設計を慎重に行い、長期的な需要を見込めるエリアでの経営が成功のポイントとなります。
マンション経営
マンション経営はアパートと仕組みは同じですが、建築費や家賃水準が高いため、より大規模な投資になります。鉄筋コンクリート造で耐久性が高く、長期的な資産価値を維持しやすい点がメリットです。満室状態を維持できれば、アパートよりも高い利益を得られるでしょう。なお、共用部分の清掃や修繕費、管理会社への委託費などが発生するため、収支計画をしっかり立てておくことが大切です。初期費用はかかりますが、安定した入居が確保できれば、将来的に高い資産価値を維持できる経営スタイルです。
戸建て賃貸
戸建て賃貸経営は、一戸建てを建てて貸し出す方法です。ファミリー層を中心に根強い人気があり、転勤や子育てなどの理由で賃貸の戸建てを希望する層が増えています。アパートやマンションに比べると家賃収入はやや低めですが、入居者が長期的に住む傾向があるため、安定した収益を見込めます。また、将来的に売却する場合も、戸建てであれば個人への売却がしやすく、資産価値が維持されやすいのも強みです。
ガレージハウス
ガレージハウスは、1階部分にガレージを設けた賃貸住宅のことです。車やバイクが趣味の人、メンテナンススペースを求める人などに人気があり、ニッチながら安定した需要があります。駅から離れた場所でも、駐車スペース付きの物件を探す人は多く、立地に左右されにくいのが特徴です。ガレージ部分を広く取るため、居住スペースはコンパクトになりますが、賃料を高めに設定できる傾向があります。
ほかの物件と差別化できる点が魅力で、競合が少ない分だけ長期的に安定した経営を目指せます。趣味志向の強い層をターゲットにすることで、空室リスクを下げることも可能です。
シェアハウス
シェアハウスは、ひとつの住宅を複数人で共有して住むスタイルです。とくに若者や単身者を中心に需要が高まっています。個室を貸す形式のため、一棟まるごと貸すよりも空室リスクが低く、収益性が高いのが特徴です。一方で、共用スペースの掃除や光熱費の分担、入居者同士のトラブル対応など、管理の手間が増えるというデメリットもあります。
清潔な共有空間や便利な立地、入居者の相性を考えた募集など、きめ細かい運営が求められます。管理会社へ委託する場合は、シェアハウス運営の実績がある業者を選ぶことが大切です。
賃貸併用住宅
自宅と賃貸スペースを同じ建物内に設けるのが賃貸併用住宅です。自宅部分に住みながら、賃貸部分からの家賃収入でローン返済の負担を軽減できるのが最大のメリットです。賃貸部分が50%未満であれば、金利の低い「住宅ローン」を利用できるため、アパートローンよりも返済計画が立てやすくなります。空室が出ても、自己居住部分があるため生活基盤が安定しており、リスクを抑えた土地活用法として注目されています。
また、将来的にライフスタイルの変化に合わせて賃貸部分を拡大したり、自宅部分を賃貸に転用したりすることも可能です。
トレーラーハウス
トレーラーハウスは、車でけん引して移動できるタイプの住宅です。アメリカなどでは一般的な住宅形態で、日本でも注目が高まっています。一定の条件を満たすと「建物」ではなく「車両」として扱われるため、建築確認申請や固定資産税が不要になるのが大きな特徴です。
電気・水道・ガスといったライフラインの整備も可能で、住宅以外にもカフェや宿泊施設として利用できます。
さらに、建物が建てられない市街化調整区域や農地などでも条件次第で設置が可能です。ただし、自治体によって設置条件が異なるため、事前に確認することをおすすめします。
事業・施設を運営する「商業・福祉・サービス事業型」
土地に施設や店舗を建てて事業を運営する方法です。初期費用はかかりますが、地域に貢献しつつ長期的に安定した収益を得られるのが特徴です。トランクルーム経営
日当たりが悪かったり、狭かったりといった住宅向きでない土地でも有効に活用できるのがトランクルーム経営です。荷物の一時保管や趣味の道具置き場として利用されることが多く、年々需要が高まっています。建物を建てる必要がないため、固定資産税の負担も軽く、人が住むわけではないので修繕や管理の手間もほとんどかかりません。運営方法は、自分で設備を設置して管理する方法と、専門業者に土地を貸して運営を任せる方法があります。後者であれば、オーナーはほとんど手間をかけずに地代を受け取ることが可能です。
レンタルスペース経営
空きビルや使っていない住宅、事務所などを時間貸しするのがレンタルスペース経営です。会議や勉強会、パーティー、撮影会など、利用目的に応じて幅広い需要があります。設備はターゲットによって異なり、ビジネス向けならコピー機やWi-Fi、イベント利用ならキッチンやプロジェクターなどを整えると利用者の満足度が上がります。
ただし、集客力のある立地でないと利用者が少なくなるため、周辺環境の調査が欠かせません。立地とニーズをしっかり見極め、予約サイトやSNSを活用して集客する工夫が求められます。
ロードサイド店舗
幹線道路沿いなど、車の通りが多い土地に建てられる店舗をロードサイド型店舗と呼びます。ファミリーレストランやファストフード店、ドラッグストア、ホームセンターなどが代表的です。これらの店舗は駅から離れていても、車での来店を前提としているため、交通量の多い立地であれば高い集客が見込めます。とくにチェーン店では、立地条件が整った土地を長期で借りたいという企業も多く、安定した賃料収入が得られるのがメリットです。立地がよければ10年以上の安定した契約が続くケースもあります。
コンビニ経営
人通りが多く、生活導線上にある土地であれば、コンビニ経営も有力な選択肢です。必ずしも幹線道路沿いである必要はなく、住宅街やオフィス街でも安定した収益を見込めます。多くはフランチャイズ契約となり、本部からノウハウ提供や商品供給を受けながら店舗運営を行います。初期費用はかかりますが、店舗運営のサポートを受けられるため、未経験でも始めやすいのが特徴です。
ビジネスホテル
駅や空港に近い土地、または観光地にアクセスしやすいエリアであれば、ビジネスホテル経営も選択肢のひとつです。初期投資が大きく開業までに時間がかかるものの、稼働率が安定すれば長期的に高い収益を見込めます。ホテル運営は専門知識が必要なため、運営会社に委託する方法が一般的です。なお、観光需要やビジネス需要が見込める都市部では、再開発エリアに合わせたホテル建設が進んでおり、将来的な資産価値向上も期待できます。
保育園経営
地域に貢献しながら安定した収益を得たい人に向いているのが保育園経営です。待機児童問題の解消を目的とした行政支援も多く、補助金制度を活用できるのが大きなメリットです。自分で保育園を運営する方法のほか、保育事業者に土地を貸して運営を任せる方法もあります。後者の場合、オーナーは建設費を負担せずに安定した賃料収入を得ることができます。地域の信頼を得ながら長期的に経営できる点で、社会的意義の高い土地活用方法といえるでしょう。
商業施設
120坪以上の広い土地を所有している場合は、複数の店舗が入る商業施設としての活用も可能です。スーパーや飲食店、ドラッグストアなどを集めた複合施設は、地域の利便性を高め、人口減少地域の活性化にもつながります。テナントを複数誘致できれば、1つの店舗が撤退しても収益が大きく落ちにくく、安定した運営が可能です。ただし、初期投資が大きいため、専門家と協力して綿密な収支計画を立てることが欠かせません。
医療施設
医療施設を建てて病院やクリニックに貸す方法も、安定した収益を見込める土地活用です。とくに高齢化が進む地域では医療ニーズが高く、病院の誘致は地域貢献にもつながります。医療機関は長期契約を結ぶ傾向が強く、景気に左右されにくい点も魅力です。初期投資は必要ですが、社会的価値と安定収益の両立が可能な土地活用といえるでしょう。
介護施設
高齢化が進む中、老人ホームやグループホームなどの介護施設は需要が高まっています。景気の影響を受けにくく、長期的な安定収入を得やすいのが特徴です。施設運営は専門事業者に委託するのが一般的で、オーナーは土地と建物を貸して家賃収入を得ます。自治体の補助金制度を活用できる場合もあり、初期費用の負担を軽減できるケースもあります。地域社会に貢献できる点でも意義のある土地活用法といえるでしょう。
サービス付き高齢者住宅(サ高住)
サ高住は、自立して生活できる高齢者向けの賃貸住宅です。見守りや生活相談といったサービスが付帯しており、介護施設よりも自由度の高い暮らしを提供します。立地に左右されにくく、郊外の土地でも活用しやすいのが特徴です。少子高齢化が進む今、今後さらに需要が増える分野であり、社会的にも意義の高い土地活用といえるでしょう。